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エンジンオイルの品質を表す規格には、アメリカの「API規格」や日本の「JASO規格」、省燃費性能を重視した「ILSAC規格」などがありますが、まずはベースオイルのグレードを知ることから始めましょう。 以前の章でも触れましたが、原油を精製したものがベースオイルで、市販のオイルはそこに各種の添加剤を加えたものです。オイルの品質や性格は、ベースオイルのグレードと添加剤によって大きく変わってきます。 ベースオイルは精製の過程によって、1～5のグループに分けられます。 基本的に数字が大きくなるほど高品質で、グループ1から3までは鉱物油、4と5は化学合成油となります。 化学合成油であるグループ4と5をベースにしたオイルは分子の粒が小さく安定しているほか、不純物が少ないなど高品質です。 グループ4はPAO（ポリアルファオレフィン）、グループ5はエステルのベースオイルとなっています。 グループ3は鉱物油ですが不純物を水素と反応させて徹底的に除去する「水素化分解」処理を行っていて、鉱物油の良さを残しながら化学合成に相当する性能を持つため、合成油という表現をすることが認められています。 ちなみにグループ4や5のPAOやエステルをベースにしても、それだけでいいオイルにはなりません。 エステルやPAOにはガスケットやシール類への攻撃性があったり、劣化が早いなどのウイークポイントもあるのです。 各オイルメーカーでは複数のベースオイルをブレンドすることで、弱点の少ないオイルを作り出そうとしのぎを削っています。ベースオイルのブレンドだけでなく、添加剤を加える際にも、どんな添加剤をどのタイミングでどれくらい混ぜるかで製品の善し悪しや特徴が決まるため、オイル作りの重要なポイントであり、腕の見せ所でもあります。 さて、ベースオイルのグレードは商品のオイル缶に表示されていませんが、そのほかにもオイル品質の目安となる表示が記されています。 代表的なものが、アメリカ石油協会が制定したAPI規格で、認証されたものには通称ドーナツマークと呼ばれる丸いマークを表示できます。 ガソリンエンジン用にはSAからSMまでのグレードがあり、アルファベットが後ろに行くほど高品質になります。多くのグレードがありますが、元は四輪車用に作られた規格なので、車の性能や環境性能が向上するたびに、それに応じたオイルが求められた結果、グレードが増えていった経緯があります。 バイク用には、SF以降のグレードが一般的といえます。 |
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ILSAC規格 日本とアメリカの自動車工業会で組織されたILSAC（潤滑油国際基準および認定委員会規格）が認証する品質表示規格です。APIのSJグレード以上のエンジンオイルで、燃費節減試験などを実施し、合格すればスターバーストマークと呼ばれるスプロケットのようなマークが表示されます。 1992年に制定されたGF-1に始まり、2004年にはGF-4、2010年にはGF-5が制定されました。GF-5はGF-4に比べて、省燃費性能とその持続性、エンジン保護性能、排気浄化装置の保護という3項目において性能が強化されています。 |
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| JASO規格 API規格は基本的に4輪車用を前提とした規格で、近年では環境性能や省燃費への対応が強く要求され、低粘度、低摩擦化傾向が強まっています。 そのため、そのままバイクに使うとクラッチが滑ったりミッションのギアの耐久性低下をまねくなど、トラブルを生む可能性があります。 そこで制定されたのが、バイクでの使用を前提としたJASO規格です。 現在は摩擦特性指数によりMA、MA1、MA2およびMBの４種類があります。MA1やMA2はMAを細かくわけた区分で、一般にMAかMBの表記しかされていません。 一般的なバイクでは、MAと表示のあるものを使用するのがいいでしょう。 |
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| 【MA】ミッションなどでのせん断に強いオイル。ギア付きのバイクではこちらが指定されることが多いです。 【MA1】MAをさらに細かく分類した区分。小排気量バイクで使われることが多いです。 【MA2】MAをさらに細かく分類した区分。大排気量バイクで使われることが多いです。 【MB】MAより低摩擦なオイルです。エンジンとミッションが別体のスクーターなどで使用されることが多いです。 |
| これらの規格はオイル選びの指標となる信頼の証しといえます。しかし、数あるオイルブランドの中にはこれらの団体の認証を取っていないものも存在します。 だからといって必ずしも品質が悪いわけではなく、むしろ個性的だったり、独自の添加剤を配合したプレミアムなオイルが存在することもある、ということを頭に入れておくといいでしょう。 |
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 【第１章】エンジンオイルの役割ってなに？ 【第２章】オイルの粘度ってなに？ 【第３章】オイルの成分って何が入ってるの？ 【第４章】オイルにはどんな種類があるの？ 【第５章】オイルの品質はどうすれば分かるの？ 【第６章】オイルはなぜ劣化し、そのまま走るとどうなる？ 【第７章】きちんとしたオイル管理のすすめ 【第８章】オイルフィルターの役割とは？ 【第９章】オイル添加剤ってどうなの？ 【第１０章】オイル交換でここまで変わる？その効果を実感 |