2009年に私がスポーツスターを購入し運転してみると国産車と比べて、まっすぐ走る、止まる、曲がる全ての面において走りずらいと感じたことからスポーツスターを快適に乗る為のパーツ開発を進めてきました。はじめにリアサスペンション、次にフロントフォークスプリングを開発しました。そして更にスポーツスターの快適性を向上させる為に開発したのがインジェクションコントローラーです。

日本で販売されているスポーツスターはアメリカ本国の仕様と比べて、燃料の噴射量が少なく設定されています。日本国内の厳しい排気ガスの規制に適合する為には仕方がない事ですが、結果的にはスポーツスターは乗りにくいと感じさせる原因になっています。

燃料の噴射量が少なくなっている事によって、

夏場にエンジンがオーバーヒートしやすくなる
アクセルの開け初めがギクシャクする
低速時に異常にノッキングする
マフラーやエアクリーナーを交換して吸気や排気を良くしても本来のパワーを生かすことができない
通常1000回転ぐらいで安定しているアイドリングの回転が突然「クシュ」という音と共に800回転ぐらいまで回転が落ち、エンジンがストップしてしまう。通称「クシャミ」の症状が発生する

といった症状が発生します。

2007年式以降のスポーツスターは、燃料の噴射方式にインジェクションを採用しています。インジェクションはコンピューターで燃料の噴射をコントロールしている為、2007年式以前のキャブレターを採用しているスポーツスターと違い、コンピューターのセッティングを変更しなければ燃料の濃さの調整が出来ません。

逆に言えば、インジェクションコントローラーで燃料を濃く補正することによって、上記のような症状を改善することができるのです。

インジェクション方式のスポーツスターの燃料を濃くするには大きく分けると4つの方法があります。

トランスファーチューニング
ノーマルのコンピューターを書き換えるインジェクションチューニングの事を言います。パソコンを使って設定することが必要になり、専門の知識がないとセッティングできない。
フルコンチューニング
純正のコンピューターを取り外し、交換するチューニングです。本体代も高額になり、セッティング費用も高いために高額になってしまいますが、セッティングの自由度は高く、他のチューニングでは出来ない事もできる。
サブコンチューニング
純正のコンピューターに接続してインジェクションの動作のみ制御するチューニング。アイドリングを下げるなど、フルコンに比べると出来ることは限られますが、反面安価で調整しやすいと言うメリットもある。
O2センサー補正チューニング
マフラーに接続されるO2センサーに装着して、O2センサーの信号を変換してコンピューターに送信し、燃調を濃く補正する。しかしO2センサーは常に動作しているわけではないので、効果は限定されてします。

 

弊社がスポーツスターのインジェクションコントローラーを開発するにあたり、早い段階でO2センサー補正チューニングは開発の候補から外れました。理由は機能が限定され、思ったような効果を得ることが難しかったからです。

また、優れたチューナーが手を入れたフルコンチューニングやトランスファーチューニングは素晴らしい効果が期待できますが、以下の問題点がありました。

ハーレー専門のカスタムショップにしかセッティングできない
日本のハーレーの仕様にあわせたセッティングデータを入力しなければならない為、セッティング費用が高いうえにノウハウを持ったショップでしか対応できません。
価格が高額になりすぎる
トランスファーチューニングに必要なパーツは本体代金だけで7万円前後必要になる上に、セッティング代金が3万円前後かかります。アイドリングの回転数から点火タイミングまで幅広くセッティングデータを入力しなければならない為、セッティング代金は仕方がないと言えますが、総額は10万円以上になります。
車検の度にノーマルのセッティングに戻してもらう必要がある為に車検費用が高くなってしまう
車検の際は燃料を濃く補正していると試験に通りませんので車検毎にセッティングしなおさなければなりません。その為、都度ノウハウを持った専門ショップにお願いする形となり車検代金は高額となります。

そこでワールドウォークがスポーツスターのインジェクションチューニングに採用したのがサブコンチューニングです。


既に色々なメーカーからサブコン方式のスポーツスター用インジェクションコントローラーは販売されており、いくつかサンプルで購入してみましたが、サンプルで購入したサブコンはどれも、加速時やアイドリング時、巡航状態やフルスロット時などの燃料の追加量の調整が出来るものでした。

ですが、実際にセッティングしようとシャーシダイナモに乗せてみると、ある問題点が浮き上がりました。シャーシダイナモに乗せると、パワーカーブと空燃比を見ることができます。パワーカーブとは読んで字のごとく、どの回転域でどれぐらいのパワーが出ているのかがわかるグラフの事をいい、空燃比とは、空気とガソリンの比率の事をいい、理想的な空燃比より濃いことをリッチ、薄いことをリーンと言います。

実際にセッティングする際には、空燃比とパワーカーブを見ながらセッティングしますが、各回転域でのセッティングが出来ないとうまくセッティングができません。

そこで、ワールドウォークのスポーツスター用 インジェクションコントローラーは500回転毎に燃料の濃さを補正できるようにしました。


シャーシダイナモに乗せながらセッティングすれば、理論的なベストなセッティングにする事は可能ですが、シャーシダイナモを備えているバイク屋さんや用品店が近くにない場合は実走でセッティングしなければなりません。実走セッティング時に雨が降ってきても壊れないように本体は防水にしました。

基本的に雨が少ないハーレーの本場アメリカ製のインジェクションコントローラーは防水性能が低いものが多いのですが、梅雨があり雨が降ることも多い日本ならではの仕様です。




この動画はスポーツスター用インジェクションコントローラーの使い方です。詳しい説明がなくても直感的に操作できるようになっています。セッティングは専門店でダイナモにかけながらやってもらうことをお勧めしますが、車検の際はノーマルセッティングに戻す必要があります。

操作方法はとてもシンプルなので、ノーマルセッティングに戻す際はあなた自身が操作することも可能です。

スポーツスター用インジェクションコントローラーはO2センサーというパーツとインジェクターというパーツ部分に装着する形になりますが、その際一切の配線の加工は必要ありません。カプラーオンで装着可能です。

さらっと書きましたが、スポーツスターはアメリカのバイクの為、カプラーなどもアメリカの規格を採用しており、日本国内では見つかりませんでした。そこで海外まで操作範囲を広げてようやく見つけることができました。

ハーレーは鉄馬と称されるように、殆どのパーツが鉄で構成されています。国産バイクであれば樹脂パーツで作るような物であっても鉄で作られています。サイドカバー内に収めてしまえば見えないパーツではありますが、プラスチックでは高級感がなく、ハーレーらしくないのでアルミのボディで仕上げました。更にブラックのアルマイトで仕上げ質感を向上しています。



ノーマルの車両で燃料を濃くしても、シャーシダイナモテストに乗せた時にパワーが上がる等の数値上の違いはでません。しかし、実際に公道を走ってみると、出だしのトルクが増えている感じがしたり、低速時の不快なノッキングが低減します。

また、夏場はスポーツスターのエンジンはオーバーヒート気味になり、かなりの熱を発しますが、燃料を濃くすることによってオーバーヒートの解消に繋がり快適になります。

上記のマップの赤ラインはノーマルマフラー。緑のラインが弊社オリジナルマフラーのスポーツスター用アンリーシュパワーマフラー装着時のパワーグラフです。

ポン付けでもパワーが出ていますが、更にインジェクションコントローラーで燃料を濃くすることによって、ピークパワーは変わらないものの、ほぼ全域でパワーが上昇します。

抜けの良いマフラーを装着すると、エアクリーナーから入った空気がシリンダーヘッドを通って、マフラーまで到達する流れが速くなります。燃料の噴射装置からガソリンがシリンダーヘッドに到達し、空気と混ざって爆発します。空気と混ざったガソリンを混合気と言いますが、流れが速くなった事で混合気がシリンダーヘッドで爆発せずにサイレンサーまで行って、サイレンサー出口で爆発し火が出ることをアフターファイヤーと言います。

燃料は薄ければ薄いほど、空気と混ざって爆発した時に高温になる為、シリンダーヘッド内部が異常に熱くなってしまう現象がおきます。元々燃料が薄めのハーレーは夏場にオーバーヒートしやすいのはこのような現象のためです。

パンパンいうアフターファイヤーが格好良いという人もいますが、燃えるはずのガソリンが燃えないでマフラーまでいってしまうと、結果的にシリンダーヘッド内が高温になってしまうことに繋がり、デトネーション【異常燃焼】が起こりノッキングを引き起こします。デトネーションが繰り返し起こると、熱でシリンダーを溶かしてしまうなど、エンジンに深刻なダメージを与えてしまうことがある為注意が必要です。

抜けの良いマフラーをスポーツスターに装着する場合は必ずインジェクションコントローラーで補正してください

※一般の方向けに最もシンプルな理論で説明しています。本来はもっと色々な要因が影響しますが、理解して頂くことを第一に説明していることをご理解下さい。


先日某有名チューナーがトランスファーチューニングをした車両に乗る機会がありました。荒々しさは一切無く、まるで4気筒エンジンの車両に乗っているかのようなフィーリングは絶品の一言。アイドリング回転数や点火タイミング、レブリミッターの回転数など全てのセッティングが変更可能なトランスファーチューニングやフルコンチューニングは、マップの作り手の経験値でスポーツスターを国産アメリカンのような乗り心地にすることが可能です。資金が許すのであれば文句なしにトランスファーチューニングやフルコンチューニングをオススメします。

O2センサーの補正チューニングは全ての回転数で燃料を濃くする形になる為、細かいセッティングができません。ですが抜けの良いマフラーに交換した時のアフターファイヤーの軽減やオーバーヒートの軽減は出来ます。手軽にインジェクションチューニングを楽しみたいと言う人にはピッタリだと思います。

それに対して、弊社のインジェクションコントローラーは、O2センサー補正チューニングとトランスファーチューニングやフルコンチューニングの間ぐらいの性能です。抑えつけられていたスポーツスターの性能を充分に開放します。抜けの良いマフラーと同時装着する事で圧倒的なトルク感と鼓動感を手にすることが可能です。

スポーツスターの魅力である、鼓動感、トルク感を得たい。もう少しスポーツスターを乗りやすくしたい!という人に使って頂きたい製品です。


三拍子にすることは出来ますか?

ハーレーダビッドソンと言えば、アイドリングの音が三拍子というイメージの方もいらっしゃるかと思いますが、三拍子にする為には限りなくアイドリングの回転数を下げる必要があり、サブコンでは設定できません。無理に三拍子にするとエンジンに負荷がかかり不具合の原因になりますので、経験のあるカスタムショップでフルコンを組む以外は三拍子にするのはオススメできません。
アイドリング時の「クシャミ」は解消されますか?
抜けの良いマフラーやエアクリーナーを装着すると、アイドリング時に「クシュ」という音と共に回転が落ち、エンストしかける症状が出る事があります。燃料を濃くする事で改善する症状ですので解消する事が可能です。

日曜日のツーリングに向けて、土曜日の金曜に夜に着いた インジェクション コントローラーを早速取り付けしました。 取り付けは、 多少 戸惑ったものの 素人の 私でも間違わずに 完了しました。 ただ、もう少し図解 などで 説明書に詳しく 書いて 貰えると助かります。 インプレッションです。 効果は、 走り出して すぐにわかります。 とてもスムーズに 加速して スポーツスター 独特のバタツキが、消えました。 高速 巡航 など では あまり分かりませんが、 街中では 非常に 乗りやすくなりました。 しかし、燃費がそれなりに 悪く なります。電話での問い合わせてもらいましたが、社長自ら、丁寧にアドバイスをして頂きました。ありがとうございました。今後、もう少しセッティングを詰めていきたいと 思います。 これからも 楽しくなる 商品を開発 していってください。期待しています。

スタッフからのコメント

お電話でのお問い合わせありがとうございました。お電話でお話した時には既にある程度良いセッティングは出ていたようでしたが、燃料タンクが小さいのがXL1200Xの泣き所ですね。巡航でよく使う3000rpm付近はあまり燃調を濃くしなくても走れますので、薄めにセッティングしてしまうのも手です。ただ、パワーが出るとスポーツスター特有のフィーリングがたまらなくなってしまうんですよね。このお客様も燃調を薄くしてこのフィーリングは失いたくないとおっしゃっていました。季節によって多少セッティングが変わりますので、これからの時期は若干薄めにセッティングしたほうが走りやすいと思います。是非色々試してみてくださいね。