ミニカー登録したジャイロキャノピーで60km/h巡航できるようにしたい

ヤマハのトリシティなどフロント2輪の3輪スクーターが注目されていますが、リア2輪の3輪スクーターといえばホンダのジャイロシリーズです。特に屋根付のジャイロキャノピーは働く原付として活躍しており、ピザ屋さんなどの配達で見た事がある人も多いはず。

働く原付だったジャイロキャノピーですが最近ではカスタムして乗るユーザーも増えてきています。特に人気なのがリアのトレッド幅を広げて「ミニカー登録」するカスタムです。ミニカー登録する事で面倒な2段階右折や30km/hで走行する必要がなくなり街中のコミューターとしての使い勝手が良くなります。

しかし荷物を沢山積んで仕事で走る用途上、エンジンのセッティングは高負荷がかからないようにマイルドにされています。そのため新車でも最高速は55km程度。中古車になれば50km前後しか出ない車両が多くなります。大きな幹線道路では制限速度が60km/hになりますし車の流れに乗って走る事ができないのはストレスになりリスクが高くなります。

ジャイロX ジャイロキャノピー用パワーサイレントマフラーのコンセプトは巡航速度を+5km/hあげることを掲げてスタートしました。

ダブルリミッターで速度が出ない・・・

ジャイロシリーズは大きく分けると初期型の車体番号100番台と110番台に分かれます。110番台になると回転数にリミットをつけるレブリミッターの他に車軸センサーが働いており、簡単にはリミッターが解除できない仕組みになっています。色々テストしてみた結果、先に車軸センサーが働いて52km〜54km/h程度で速度は頭打ちし、車軸のセンサーをカットすると最高速が2〜3km/h早くなりますが今度はレブリミッターが働き加速しなくなります。

巡航速度+5km/hあげることを目標に掲げてスタートしたジャイロX、ジャイロキャノピー用マフラーですが、マフラーの性能だけではリミッターに遮られて実現する事ができない事がわかりました。そこでリミッターをカットしていないユーザーも、リミッターをカットしたユーザーも満足して頂く為にはどうしたら良いかを考え巡航速度を上げるという目的の他に「重いキャノピーを軽く感じさせる」というコンセプトが追加されました。

エキパイのパイプの太さは3種類のφ数で構成

静粛性だけを考えたマフラーが純正採用されているのであればエキパイを太くしサイレンサーの抜けを良くすればパワーを出す事はできますが、さすがにホンダが作っているマフラーなのでバランスが取れています。トルクの特性を決めるといっても過言ではないエキパイの形状は純正同様に三種類のφ数のパイプを溶接して作りました。

φ数は純正とは異なるサイズを採用。ヘッド部分の装着部は純正同様15φとしていますが、排気ガスをクリーンにするキャタライザーは純正よりも細いものを採用して38φ。更にサイレンサーに刺さる部分は純正よりも僅かに太い28φを採用しました。適度な排圧をかけることで低速から中速時のアクセルのツキを出口付近のパイプとサイレンサーの抜けを良くすることでトップエンドまでエンジンを回した際の一押しを手助けする設定としました。

サイレンサーはジャイロ用に作った専用設計です

マフラー専門メーカーであってもサイレンサーの種類は多くはありません。車種専用なのはエキパイであってサイレンサーは排気量ごとに用意はあっても車種専用では用意していません。ワールドウォークは50ccに対応する公道使用が可能なサイレンサーを持っていなかったので、ジャイロシリーズ用マフラー用に一からサイレンサーを設計しました。

ストレート構造では排気の抜けが良すぎて低中速のトルクが足りなかったのでサイレンサー内部の部屋を分け、更に音量を下げる為にグラスウールを巻きました。結果適度な俳圧がかかり低中速でレスポンスがよく、音量は政府、JMCAの基準を満たすマフラーとなりました。

重さも純正マフラーに比べて軽量に仕上がりました

純正マフラーはエキパイとサイレンサー、取り付けステーが溶接されていて総重量は3.56kg。
ジャイロX ジャイロキャノピー用パワーサイレントマフラーはエキパイとサイレンサー、ステーが別体ですが総重量が3.21kg。

純正比−350gに仕上がりました。

素材も純正がスチールなのに対してジャイロシリーズ用パワーサイレントマフラーは全てのパーツにステンレスを採用。
錆びにくい金属なので熱による経年変化はありますが、錆等による腐食はあまりないので綺麗な状態で保つ事が可能です。

ポン付けならパワフルなトルクが楽しめセッティングをいじれば最高速アップが望めます

φ数の異なる三種類のパイプを溶接したエキパイと部屋を分けてグラスウールを巻いたサイレンサーを採用する事でポン付けでも「重いジャイロを軽く感じる」というコンセプトは充分に実現する事ができました。更に+5kg巡航速度をアップさせる為には車軸センサーをカットし、レブリミッターの回転数を変更しなければなりません。

ワールドウォークでは車軸センサーをカットしレブリミッターを10000rpmに設定。マフラーを変更する事でメーター読みで58km/hまで確認する事ができました。更にプーリーなどに手を加えると60km/hも可能になります。

注意

車軸センサーカットやレブリミッターの変更はエンジンにダメージを与える可能性があります。安易に行わず実施する場合にはプロのショップにお願いするようにしてください。

 

ジャイロX ジャイロキャノピー用パワーサイレントマフラー DETAIL

 

騒音値

ジャイロX 加速時騒音:73db 近接排気音:82db

ジャイロキャノピー 加速時騒音:75db 近接排気音:84db

適合

4st ジャイロキャノピー JBH-TA03

4stジャイロX JBH-TD02